短書
□くちなしの花
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「ふっ、ん…」
ベッドで絡み合う二つの陰
部屋に響くのは荒い息遣いとスプリングの音
ただ、そこに愛なんてものはなくて
ただ欲を満たすだけの行為
互いに達したのか急に部屋が静まり返った
二人の間に静寂が訪れる
ベッドサイドに腰かけていた健斗は何も言わず立ち上がった
その背中を何も言わず見つめる文弥
「先シャワー使う」
「うん」
決まり文句のように毎回くりかえされるセリフ
健斗がシャワーを浴びに行くのを見届けてから文弥は勢いよく起き上がった
急いで脱ぎ散らかされていた服を身にまとい部屋をさる